2009年度第二回研究会のお知らせ

 サイエンス・スタディーズ研究会第二回目は、東京大学科学史を専攻する山口まりさんに、「実験装置の誕生―走査型トンネル顕微鏡(STM)をめぐる歴史と社会」と題して発表をお願いする予定です。
 走査型顕微鏡は、探針を用いて、導電性の物質の表面をなぞり、そこに発生する電流からその状態を観察するもので、現在多くの分野で利用されています。この装置が発案、開発され、それが多く使用されるようになるのには、紆余曲折がありますが、今回は特にこの装置の開発に関わる、いくつかの主要なグループ、たとえば実験室、理論家、そして企業といったそれぞれが、どのような形でこの技術を開発し、それが現在の形になってきたかを分析してもらいます。
 実験機器の開発は、実験科学では不可欠ですが、その分野や装置の特性によって、その社会的力学はさまざまに変化します。特に独自の技能を必要とする、この装置の個性を描きながら、実験の持つローカルな多様性についても議論を進めたいと思います。

 予定は2009年7月17日(金)4時半、なお部屋は当初の予定から変更され、東大駒場14号館7階706号室です。