2009年度第一回研究会の報告〜サイエンス・マップの挑戦

今年度第一回のサイエンス・スタディーズ研究会は、文部科学省の科学技術政策研で科学の計量的研究をなさっている阪彩香さんに発表をお願いしました。

サイエンスマップは、自然科学の全領域に関して被引用数のトップクラスのものをクラスター化し、さらにそれらが相互に引用しあう度合をビジュアル化して全体像を見ようという壮大なものです。

そうして出来上がったマップの中で、いくつかの山頂のようにみえる部分を専門家に同定してもらうという作業をした結果、そのデータベースで扱う期間内で、研究が集中している領域のダイナミズムを観察することができます。

このマップの解釈を巡り活発な議論がなされました。たとえば医学、生物学領域に大きな回廊のようなものが成立(ゲノム関係)するなど変化が激しいのに対して、素粒子物理等は比較的安定した構造をもっているとか、環境系は細かなユニットが複数観察されるとかその分野によって異なる構造がかなりはっきりと見て取ることができます。

またこうしたマップがもつ方法論的な可能性と限界、あるいはこのマップに対する政策関係者たちの反応といった側面についても意見が交換されました。

次回の研究会は7月初旬を予定しております