2012年第12回研究会のお知らせ

 サイエンススタディーズ研究会第12回は現在小児科医で、東京大学先端科学技術研究センター特任講師をなさっている熊谷晋一郎さんに、「科学としての当事者学」というタイトルで、発表をしていただきます。

熊谷さんは、新生児仮死の後遺症で脳性まひを持っており、電動車いすで生活をなさっていますが、その経験をまとめた、『リハビリの夜』は、その強烈な記述と新鮮な理論的アプローチで、新たな身体論の誕生として、新潮ドキュメント賞を受賞しております。他方特に自閉症を中心として、その当事者を内側から理解する試みとして、「当事者学」を提唱なさっており、学際的な観点から、活発な研究活動を展開されています。

今回のご発表では、どちらかといえば、障害者のある種のエンパワメントの手段として理解されがちな当事者学を、むしろ厳密な学として考えるという観点から、あえて「科学としての」という形容詞をつけることで、その学としての可能性、効用、そして限界や問題点といったものを総括的に討議することを企画しております。

医学、発達認知科学実験心理学、認知ロボティクス、現象学などといった分野での知見を総合する学としての当事者学という構想が、科学技術社会論的な視座とどう絡み合うか、その可能性を追求してみたいと思います。

日時 2012年3月9日(金) 15時から(通常と異なりますのでご注意ください)
東大駒場14号館4階407号室です。