2011年第八回研究会の報告−戦後占領期雑誌における「科学者天皇」表象

 第八回研究会は、早稲田大学で科学とメディアの関係を研究されている吉永さんに、メディアにおける天皇と科学のイメージの交錯について、大変刺激的なお話をうかがいました。吉永さんの話は遠く昭和天皇の皇太子時代にさかのぼり、そのメディアデビュー期から敗戦後にいたるまで、どのような形で表象が行われ、その意図はどういったものであったかについての詳細な分析でした。 
 いくつかの点が議論の対象になりましたが、特にこの「科学」というのが、分類学中心であり、他のタイプの科学ではなかったことの意味や、それがさらに戦後という文脈においてどのように変化してきたか、またこうしたメディア分析をする際の方法論的な問題、その特定メディアのタイプ、質、文脈といった点について活発な議論が行われました。
 吉永氏は今後ノーベル賞のイメージといった方に研究を展開される予定であり、今後の研究の展開が非常に楽しみに感じられます。