2010年第七回研究会のお知らせ

 サイエンススタディーズ研究会第七回目は、未来工学研究所 政策科学研究センターの田原敬一郎さんをお迎えして、「政策科学とSTS−日本における「科学技術イノベーション政策のための科学」論議を巡って」というタイトルでお話をうかがいます。
 近年、米国における「科学イノベーション政策の科学(SciSIP)」や「科学政策の科学(SoSP)」をはじめとして、エビデンスに基づいた政策形成のための研究を振興していこうとする動きが各国で活発化しています。日本においても新政権発足後の事業仕分けを1つの契機として、文部科学省が科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」関連新規事業に10億円強の概算要求を行うなど、こうした議論が本格化しはじめています。
 こうした現状を踏まえて、「科学技術政策研究(Science and Technology Policy Research:STP)」とは独立に成立、発展してきた「政策科学(Policy Sciences)」の理論、方法論研究等の系譜をそのコンテクストを含めて辿ることで、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」を今後日本においてどのように展開していくべきかについて問題提起をしていただきます。政策科学におけるこれまでの議論はその“有用性”を巡っての試行錯誤の歴史そのものであると言えますが、これらの蓄積を「科学政策」や「イノベーション政策」に活かしていくためには、「科学・技術」が関わる諸問題に固有の困難性を考慮する必要があると田原さんは主張します。本報告では、こうした課題を克服するために、2つの研究領域−「STS」と「意思決定システム科学」−の果たしうる役割に着目し、議論をしていただきます。

 予定は2010年11月12日(金)17:00(いつもより30分遅くなります)東大駒場14号館4階407号室です。