2010年第六回研究会の報告〜開放的アプローチと中間機関-科学と社会を結ぶ制度設計

 第六回研究会の吉澤さんの発表は、従来のテクノロジーアセスメントの限界を超えて、あらたな第三世代のTAを探求するという意欲的なものでした。TAを専門家主導型から、より開放的なシステムへと移行させ、さらに従来の関心ある市民だけでなく、より様々なアクターを取り込むための、中間的な制度の設計というプログラムは、多くの可能性と、同時にいくつかの困難な問題を含み、刺激的な議論が展開されました。
 特にアセスメントという概念が、単なる評価ではなく、より複雑なフィードバックを含む制度であり、かつ多くのアクターを巻き込むという方向性には、その内容の複雑化、政治的意思決定との関係の問題、時間的要請など、乗り越えるべきいくつかの問題が指摘されました。他方、従来の線形的な未来予測の誤謬を超える観点としては、この方向が基本的に正しいので、ここら辺は今後解決すべき、重要な問題であると多くの参加者が同意しました。
 多くの分野からの参加者があり、Science Studiesの醍醐味を満喫できる会でした。